『ありがとう』と言われる日まで。




誰も彼女に近寄らない。


常に彼女は一人だ。


一人で机にノートを開いて絵を描いていた。



そんな彼女を俺は見ていた。


何日も、何日も。


もう一度だけ。


話しかけてみよう。


彼女からの返事がなくとも、俺が一方的に話しかけるだけになったとしても。



いつも一人の彼女だ。


これから、少しずつでも彼女の横にいられる存在となりたい。


そう思い始めていた。


声が出せない。


返事がない。


それが、なんだ。



俺の想いさえ、彼女に届けることができれば。


それだけで、いい。


これが、一目惚れってやつなのか…