「教えるの難しいし…。

俺のマネしてくれると助かるんだけど」




「が、頑張る…!」





城川くんは校舎の壁から少し離れたところにボールを置いた。





そしてすごくかっこいいフォームでボールを蹴って。
ボールは白い壁に当たって、勢いよく跳ね返ってきた。





う…マネすらできなさそう……。





「すごいね!
あ…。 ぽ、ポイントとかはある?」




「別に。
ポイントは……ひとつ目は、ボールの真横に軸足を置く」





ふたつ目は膝を柔らかく曲げて、つま先を蹴る方向に向ける。





3つ目はスネから足の甲までは真っ直ぐにする。





4つ目は足の甲にボールを当てる。





———城川くんはそう説明してくれた。
さすがだなあ。
できるかは置いといて、少し…シュートの蹴り方がわかったもん。





本当は怖いし蹴りたくないけど。
もしチャンスがあるならば、わたしが蹴らなきゃだもんね…!





「あとは、蹴り終わったら蹴り足は真っ直ぐ振り抜く。

…やってみろよ」




「ありがとう!

う、うん…! やってみる……っ」





わたしはすぅーはぁーと深呼吸をしながら、地面にボールを置くと。





「ふ、大げさ…」





そう笑った声が聞こえて。
チラッと見ると、城川くんは少し目を細めて笑ってた。





ドキン———。
そう胸が鳴る。