玄関のドアを開けると、すぐそこにニヤニヤしたお姉ちゃんが待っていた。
「ふっふっふー。 …彼氏?」
お姉ちゃんの言葉に少し頬が熱をもつ。
わ、わたしと城川くんはそんなんじゃないもん…!
「ち、違うよ!」
「あらー、残念。 かっこよかったのに」
「城川くんは…サッカーの師匠!」
いい言葉を見つけられなくてそう言うと、お姉ちゃんは不思議そうな顔をして『師匠?』と首を傾げた。
「サッカーを教えてもらってたの」
「ふぅん。 そうなのね。
あ、ご飯出来てるよ〜!」
「う、うん」
というか…どこから見てたんだろう?
さすがお姉ちゃん…としか言いようがない。
わたしは部屋に荷物を置きに階段を昇る。
うぁあ…もう、頭が城川くんのことしか考えられない。
笑顔じゃないのに、キラキラして見える。
もっと話したいって。
もっと近くにいたいって。
もっといろんな表情を見たいって。
そういう欲が芽生えてくる。
もう。わたし…どうしちゃったんだろう。
そ、そういえば…。真っ暗だったから気にしてなかったけど。
自転車のふたり乗りって…わたしが城川くんに抱きついてるみたいだったじゃん!
きっと城川くんはなんとも思ってないだろうけど…。
よし!明日は絶対に『おはよ!』って言う。
あ〜…それに、金曜日が待ち遠しい。