「頑張れ!」
「おう」
一生懸命プレーするキミに。
わたしはエールをたくさん送る。
だから、頑張って。
諦めないで。
最後まで戦おう。
……勝っても負けても笑えるように。
わたしはキミの笑顔が大好きだから。
コートに走って行ったキミの背中を眺め続ける。
「うわー。いよいよだね」
「うん」
「この試合で決勝行けるか決まるもんねー…」
「…そうだね」
隣にいる杏里の言葉に曖昧にしか返せない。
そんな杏里はわたしを見て微笑んだ。
「城川くんを真っ直ぐ見つめる瑞姫、嫌いじゃないよ」
「ふふ、なに急に?」
杏里は笑って『なんでもない』と言った。
こんな大切な友達がいて。
10人の仲間がいて。
大好きな人がいて。
こんなに幸せなことはないよ。
わたしはすごく…幸せだよ。
この高校に転入したから友達に出逢えた。
友達に出逢えたからサッカーに出逢えた。
サッカーに出逢えたから大切な仲間に出逢えた。
大切な仲間に出逢えたから大好きな人に出逢えた。
簡単なようで複雑だ。
…こんなのもきっとなにかの“縁”。
ひとつでも欠けてたら。
わたしはいまここで、湊くんを応援していないもん。