廊下の人混みを掻き分けて階段を降りて、中庭の間の渡り廊下に出る。





「んー、開放感!」





杏里はのびーっとした。
というか、ぽかぽかしてる中庭は心地いい。





渡り廊下を通ってそのまますぐ近くにある階段を昇って、誰もいない音楽室に入る。





「ん? ってあれ…城川くん?」





窓の外を見ていた杏里が、下を指差した。
え?…城川くん?





窓のすぐ近くにある木の下には城川くんらしき人と女の子の頭が見えた。





窓を開けてるから。
耳を澄ませば声が聞こえてくる…。






「城川先輩っ、来てくれてありがとうございます!」





そんな可愛らしい女の子の声が聞こえてきた。





…告白?
わたしと杏里は目を合わせてまた、耳を澄ます。





「話ってなに?」





相変わらずめんどくそうな冷たい声。
あぁ、絶対…城川くんだ。
わたしの好きな、城川くんの声だ。