その男は俺と同い年か少し上といった感じで、このクソ暑いのにチャコールグレーのスーツをビシッと着込んでいた。顔はまあイケメンなんだろうと思う。俺は好きな顔じゃないが。
すると、なんと真琴は、
「ガム、決まりましたか?」
と、その男に向かって声を掛けた。
状況が解らず俺が唖然としていると、男は「ああ」とか返事をしてカウンターにガムを置き、真琴はその代金と思われる硬貨をピシッとカウンターに置いたりした。
そして真琴は、さも“どうよ?”と言いたげな顔を俺に向けた。
どうやら真琴が言った客とは、このすかしたイケメンの事らしい。真琴と男がどんな関係かなんて俺には知る由もないが、こんな遅くに部屋に招くという事は、それなりの相手なのだろう。
真琴はやっぱりイケメンが好きなんだな。そして、それにほど遠い俺なんかに可能性があるかもなんて、たとえ一瞬でもよく思えたものだ。
そう思ったらつい笑ってしまったが、その後は顔を上げられなくなってしまった。涙が出そうで、それを真琴に見られたくないからだ。
寄り添うようにコンビニを出て行く真琴と男の後ろ姿を、俺は呆然と見送る事しか出来なかった。
すると、なんと真琴は、
「ガム、決まりましたか?」
と、その男に向かって声を掛けた。
状況が解らず俺が唖然としていると、男は「ああ」とか返事をしてカウンターにガムを置き、真琴はその代金と思われる硬貨をピシッとカウンターに置いたりした。
そして真琴は、さも“どうよ?”と言いたげな顔を俺に向けた。
どうやら真琴が言った客とは、このすかしたイケメンの事らしい。真琴と男がどんな関係かなんて俺には知る由もないが、こんな遅くに部屋に招くという事は、それなりの相手なのだろう。
真琴はやっぱりイケメンが好きなんだな。そして、それにほど遠い俺なんかに可能性があるかもなんて、たとえ一瞬でもよく思えたものだ。
そう思ったらつい笑ってしまったが、その後は顔を上げられなくなってしまった。涙が出そうで、それを真琴に見られたくないからだ。
寄り添うようにコンビニを出て行く真琴と男の後ろ姿を、俺は呆然と見送る事しか出来なかった。



