その時に俺は実家を出て、このアパートへ移って来た。裕子さんと同じ家にいたら、いつか兄貴や親にばれてしまうと思ったから。だが……


「毎日暑いわね?」


とか言いながら、裕子さんは部屋に入るなりブラウスのボタンを外し始めた。


「義姉さん、それはやめてください」

すかさず俺が言うと、

「えっ?」


と言って裕子さんは手を止め、キョトンとした顔をした。

それは無理もないと思う。なぜなら、俺はここでは言わないようにしている“義姉さん”という呼び方をしたし、裕子さんが来るなり服を脱ぐのはいつもの事なのだから。


「汗かいちゃったから、シャワーを使わせてほしいんだけど?」

「はい。でも、我慢してほしいんです」


我慢してほしいのはシャワーだけではないのだが、果たして裕子さんにそれは伝わっただろうか……