素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜

全然、楽しくない。こんなはずじゃなかったのに……

あの後、阿部和馬は私を見ようとしなかった。ただの一度も。曽根崎さんの事も。


計画では、今頃は可笑しくて笑ってるはずだったのに、この憂鬱な気持ちは何なんだろう。罪悪感、後悔……。たぶんそんなところだ。

ああ、もうイヤ。私って、ほんとバカ。


アパートまでどうやって帰ったのか分からなかった。曽根崎さんが付いて来たかどうかも。いっそ帰っちゃってたらいいのになと思ったけど、しっかり付いて来ていた。当たり前だけど。


そう言えば、阿部和馬は何か私に話があるって言ってたな。何だろう。どうせ大した話ではないと思うけど、明日聞いてみようかな。

ううん、やっぱり今夜にしようっと。

曽根崎さんにはお茶を出して早々にお引き取りいただき、今夜の内に阿部和馬と話そう。そして今夜の事を説明しなくっちゃ。“あれはあんたを驚かせるためのお芝居だったのよ”と……


「狭いし散らかってますよ?」

「そんなの構わないさ」


私はアパートの部屋に、曽根崎さんを招き入れてしまった。