【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





──そんな自分の考えはどこまでも甘くて。


神様はどこまでも意地悪だってことを知るのは、すぐだった。


……どうして……。


転校した先の学校で、一瞬目の前が眩んだように感じた。


先生の声も、自分自身が紡ぐ自己紹介の言葉さえも、どこか遠くの世界で聞こえるように感じる。


私の視界の端に映るのは、目を見開いて私のことを凝視する彼。


過去へと消えていった筈の彼。


──私が初めて、愛した人。


そして、全てを裏切られた人。


目線が合ってしまわないようにしながら、胸の中の痛みがどんどん大きくなってくるのを感じていた。


もう思い出にしようと額縁の向こうへ追いやったはずの人影が、額縁からこちらへと出てくる。