そんなことない。
そんなこと、あるわけない。
「私はこの先、何度転校することになっても良かったから、もう少しここにいたかったよ……!」
「恵梨……」
ぽろぽろと、思いは涙になってこぼれ落ちていく。
「やだよ……渓斗君と離れるの、やだよ……」
私はまた、大切な人を失うの?
怖い。
渓斗君と離れるのが、怖いよ──。
「……恵梨、俺、離れても恵梨のことずっと好きだよ」
不意に、力強い声でそう言われて、私は弾かれたように渓斗君の顔を見た。
渓斗君は、真っ直ぐな眼差しで仄かな優しさを称えながら私を見つめていた。
「泣くことなんてないだろ。メールも、電話もする。長期休みに入ったら会いにいく」
「渓斗君……」
「俺は恵梨の前から消えたりしないから」


