渓斗君と二人でやって来たのは、落ち着いた雰囲気のカフェ。
ゆったりとしたBGMが、自分の心を落ち着かせていく。
「あの……っ、あの、ね」
「待って。とりあえず何か頼もうよ」
苦笑いしながら、メニューを手渡してくる渓斗君。
それを受け取ると、渓斗君が「ごめんな」と謝った。
「言葉遮ってごめん。でも、きっと恵梨が俺に言うことは、いい知らせじゃ無いんだろ?」
「……っ、」
思わず俯いてしまうと、テーブルに乗せた手に、渓斗君のそれが重ねられた。
「大丈夫、どんな事でも受け止める。……けどやっぱ、心の準備もしたいから、もう少しまって?」
一休みしてから話そう、と笑う渓斗君の優しさに泣きたくなりながら、泣かないように頷いた。


