【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




何故なら、渓斗君がとても辛そうに、さみしそうに私を見ていたから。


その切ない表情に、きゅう、と胸が締め付けられた。


「……渓斗君」

「俺……頼りないかな」

「違う。違うよ……」


違うよ。そんな顔、させたかったんじゃなくて私はただ、渓斗君に心配かけたくなくて。──怖くて。


転校の事を言った時に、渓斗君がどんな顔をするのかわからなくて、想像するのも怖くて。


傷ついた顔をされたらどうしよう、なんて。


こうして下手な嘘をついた方が、渓斗君のことを傷つけるのに。


「渓斗君、ごめんね。もう隠したりしないから……」


すう、と息を吸う。


「私の話、聞いてくれますか?」