何故なら、渓斗君がとても辛そうに、さみしそうに私を見ていたから。
その切ない表情に、きゅう、と胸が締め付けられた。
「……渓斗君」
「俺……頼りないかな」
「違う。違うよ……」
違うよ。そんな顔、させたかったんじゃなくて私はただ、渓斗君に心配かけたくなくて。──怖くて。
転校の事を言った時に、渓斗君がどんな顔をするのかわからなくて、想像するのも怖くて。
傷ついた顔をされたらどうしよう、なんて。
こうして下手な嘘をついた方が、渓斗君のことを傷つけるのに。
「渓斗君、ごめんね。もう隠したりしないから……」
すう、と息を吸う。
「私の話、聞いてくれますか?」


