【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





「恵梨?」


転校を告げられた翌日、ボーッとしていると、渓斗君が首を傾げながら、横から私をのぞき込んできた。


「あっ、な、なに?」

「いやボーッとしてるから。大丈夫?」

「う、うん……」


ちょっとボーッとしてた、と苦笑いしながらパッと目線を落とす。


なんだか後ろめたさがあって、渓斗君と目を合わせられなかった。


「……どうしたの」


すると、ワントーン低くなった渓斗君の声に引き止められた。


歩きだそうとした私の腕を掴んで、引き止める渓斗君。


「大丈夫なんて嘘でしょ。なんかあったの?何、隠してんの」

「何も隠してなんか……」

「俺には言えないこと?俺の事、信用できない?」

「そんなこと──っ…!」


ないに決まってるよ!と渓斗君に反論しようとして、言葉を詰まらせる。