「……そんな顔されたら、諦めるしかないよね」
くす、と苦笑いしながら呟いた女の子。
え?と首を傾げれば、いたずらっ子のようにその子が笑った。
「その子のことが、大好きで仕方ないって顔してる!」
「……!?」
大好きで仕方ないって顔!?
どんな顔だよそれ、と狼狽えていると、ふふ、とその子が笑った。
「なんかイメージと違ったけど、木村君、そっちの方がいいよ」
「え?」
「そうやって照れたり笑ったりしてる方が、無愛想な時の木村君より全然いいってこと!」
「……そうか?」
そうだよ!とにかっと笑って、じゃあね!と去っていった女の子を、珍しいやつだな、と俺は見送っていた。
翌日。
「あ、木村君!」
「……あ」
朝登校すると、昨日のその子と鉢合わせた。


