苦笑いしながらそう答えると、沢森さんは目をぱちぱちとさせてから、嬉しそうに笑った。
「そうだったのか!恵梨はどうかな?上手くやってる?」
「はい、すっかり人気者ですよ」
そう言うと、沢森さんは安堵のため息をついた。
「……それなら、よかったんだけど……」
それがどこか寂しそうな表情と声色に見えて、俺は思わず声をかけていた。
「何かあったんですか?」
きっと、これ以上沢森に関わるべきじゃないのに。
沢森の事を知れば知るほど、もう俺は情けないくらい沢森に惹かれてくから。
「……なんか去年の冬辺りから元気がなくなって……」
「……!」
「転校するのをあそこまで嫌がるのは初めてでね……まあ、嫌がる、といってもあの子は口には出さないんだが」
本当に物わかりのいい子だよ、と沢森さんは少し笑う。


