【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





卒業まで付き合ってくなんて当たり前だろ?俺は沢森が好きなんだから。


卒業式で振る?何言ってんだこいつら。


そこまで考えて、あ、と思い出す。──そうか、こいつら俺が嘘告で沢森と付き合ったのを、まだ演技だって信じてるのか?


……俺はもう、こんなに沢森に溺れてるのに。


「そのことなんだけど俺──」

「ていうか沢森も沢森じゃね?いい加減騙されてるって気づけばいいのにな」


卑下た笑いでそう言ったそいつらにさすがにイラついた俺が、「おい」と言い返そうとした瞬間。


──ドサッ……!


俺達の背後でそんな音が聞こえてきて、俺達は一斉にそちらを向いた。


そして俺は、身体中がすう、と冷えていくのを感じた。


「あ……」


か細く吐き出された声は震えていて、いつも俺に向けてくれていた柔らかな笑顔はどこにもなく、その表情は驚愕と怯えに染まりきっていた。


「沢森……!」


沢森がどこから聞いていたのかは、その表情を見れば一目瞭然だった。