本当は最初、俺が沢森の家まで迎えにいくっていったのに、沢森は遠いから駄目だってそれを許してくれなくて。
イヤホンを耳につけて音楽を聞きながら立っていると、不意に、誰かに肩を叩かれた。
イヤホンを片方外しながら振り向くと、そこには、沢森に告白するように俺を焚き付けたあいつらが立っていた。
焚き付けた──とはいえ、あの出来事のお陰で沢森と付き合うことが出来たんだけどな。
「おう、おはよ」
そう言うと、口々に「はよー」と挨拶が返ってきた。
「理貴、いつもここで沢森と待ち合わせしてるよな」
「……知ってたのか」


