沢森の視線が自分に映ったことに満足しながら、沢森を見つめる。
すると、沢森はどこかそわそわしたように落ち着かないながらも、遠慮がちに、だけど嬉しそうにふわ、と微笑むから──。
そんな沢森が愛しくてどうしようもなくなって。──俺は、そのまま沢森にキスをした。
それと同時に打ち上がる花火がまるで俺達を祝福してるようだ、なんて、その時の俺は柄にもなくそんなことを考えていた気がする。
触れるだけの子供だましみたいなキス。
だけど、心はとても満たされた。幸せだと、心から感じた。
君とのファーストキスは、夏空に咲いた、大輪の花の下。
一瞬とも永遠ともとれるような時間のなか、ゆっくりと唇を離せば、伏せていた睫毛を震わせて、沢森がゆっくりと目を開く。


