「木村君、木村君!花火もうすぐ始まるよ!」
暫くすると沢森もリラックスしてきたのか、無邪気に笑っていた。
そんな沢森に微笑みながら、沢森の手を引いて、花火がよく見える土手へと連れていった。
「ここからなら、良く見えるらしいから」
「そうなんだ!楽しみ!」
瞳をキラキラと輝かせながら、夜空を見つめる沢森は、俺の方には見向きもしない。
……子供っぽいことはわかってるけど、それはそれで何か気に入らない。
夜空に嫉妬とか、情けねえ……。
それでも気に入らないものは気に入らないもので、そのまま、ぎゅ、と沢森の手を握る力を強めると、俺の思惑通り、沢森は少し驚いたように俺を見上げた。


