【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





そして試合当日。


天気は快晴。コンディションも完璧。


「理貴、頑張ってな!」


試合が始まる前、そう背中を押してくれた昴に拳を掲げて見せ、俺はコートに立った。


コートを踏みしめた瞬間に襲ってくる緊張感と、高揚感。


「木村──期待してるからな」

「うす!」


隣に立っていた先輩にそう言われ、返事をしながら俺は沢森の言葉を思い出していた。








「理貴ー!お疲れ!」


大会が終わると、昴が駆け寄ってきた。


大会の結果は三回戦敗退。シード校と当たって負けたが、なかなか善戦だったと岩崎も褒めてくれた。


「おう」

「なあ飯食って帰ろうぜ!お祝いに!」

「お祝いってなんだよ」


苦笑いすると、それでも昴はニコニコと嬉しそうに笑う。


「何言ってんだよ、MVPのくせに!」