そして試合当日。
天気は快晴。コンディションも完璧。
「理貴、頑張ってな!」
試合が始まる前、そう背中を押してくれた昴に拳を掲げて見せ、俺はコートに立った。
コートを踏みしめた瞬間に襲ってくる緊張感と、高揚感。
「木村──期待してるからな」
「うす!」
隣に立っていた先輩にそう言われ、返事をしながら俺は沢森の言葉を思い出していた。
「理貴ー!お疲れ!」
大会が終わると、昴が駆け寄ってきた。
大会の結果は三回戦敗退。シード校と当たって負けたが、なかなか善戦だったと岩崎も褒めてくれた。
「おう」
「なあ飯食って帰ろうぜ!お祝いに!」
「お祝いってなんだよ」
苦笑いすると、それでも昴はニコニコと嬉しそうに笑う。
「何言ってんだよ、MVPのくせに!」


