【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





丁寧に説明してから、顔を上げると、少し蒸気した顔で木村君はボーっとしていて。


「木村君?」

「えっ、あ、おお」


ハッとしたような態度に、目を細める。


「……本当に聞いてました?」


疑うようにそう言うと、何故か木村君は困ったように笑って。


やっぱり聞いてなかったんじゃ、と言い返そうとした私に、木村君は口を開いた。


「なあ、明日もこうやって教えてくんない?」

「え?」


今、そんな話全然してなかったのに。


突然話題が変わって、目を丸くする。でも、「……どうしても嫌なら、いいけど」と少しさみしそうに言われたら、嫌だなんて言えるわけもなくて。


これが木村君の罠だってこと、わかってるのに。