嘲るように笑って見せると、不本意そうに沢森が目を見開く。
「なに沢森。……俺とやましい事、したいの?」
「違います!」
ほとんど反射的に叫んだのであろう沢森。
怒った顔をした沢森に、俺はニッコリと笑った。
「じゃあやっぱ、問題ないよな」
「なっ……!騙したんですか!?」
「何のことだよ、人聞き悪いな」
ぷいっと顔をそらしてしらばっくれれば、沢森がわなわなと震える。
そんな様子さえ可愛くて、沢森に見えないように小さく笑みを零した。
ほんと騙されやすくて、流されやすくて可愛い。
……そのまま流されて、俺のものになればいいのに。
「おー、木村」
「げっ」
「『げっ』とは何だ。生意気なことをいうのはその口か?あん?」
それから二日くらい経った日の昼休み、廊下ですれ違った岩崎に引き止められた。


