籠に入っていたエプロンを取り出して、着物の上から付ける。
紐を後ろで結んでから、私は両手でペチンと両頬を叩いて、喝を入れた。
今は、目の前の仕事に集中しろ、私。
お店は想像以上に大繁盛で、忙がしくて息付く暇も無かった。
あちこちからお客さんの声がして、てんやわんやになりながら対応していく。
廊下にも長蛇の列が出来ていて、これからあの人数を捌くのかと思うと眩暈がした。
「すいませーん注文いいっすかー」
「はい!今お伺いします!」
教室の隅のテーブルから声がして慌ててそっちに向かうと、そこに居たのは髪の毛を染めたりしていて少し柄の悪そうな二人組。
今日は校内公開だから、ここの生徒なんだろうけど。
「おっ、可愛い店員さんじゃん」
私を見ると、ニヤニヤしながらそう言った金髪の人。
その横で茶髪の人もニヤニヤしていて。
少し、怖くなった。


