なんだか見ていられなくて、ふっと目を逸らす。
なのに、いつの間にか私の視線はまた、木村君の方に向いてしまって。
──あれ?
ふと、とある可能性に気が付いて、心臓が駆け足を始める。
木村君とよく目が合うと思っていたのは、もしかして。
木村君が私を見ていたんじゃなくて──。
私が、木村君を見ていたから?
今みたいに、無意識に木村君を追いかけていたから、だからいつも目が合ったんじゃないか。
「まさか……」
知らない内に、木村君の事見てたなんて。
──そんな事実、知りたくなんてなかったよ。
「恵梨ちゃん、大丈夫?」
「あっ、うん。ごめんね、すぐ支度する」
私がその場に立ち尽くしていたからか、同じシフトの子に心配されてしまった。
いけない。こんなこと、考えてる場合じゃない。


