【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





なんだか見ていられなくて、ふっと目を逸らす。


なのに、いつの間にか私の視線はまた、木村君の方に向いてしまって。


──あれ?


ふと、とある可能性に気が付いて、心臓が駆け足を始める。


木村君とよく目が合うと思っていたのは、もしかして。


木村君が私を見ていたんじゃなくて──。


私が、木村君を見ていたから?


今みたいに、無意識に木村君を追いかけていたから、だからいつも目が合ったんじゃないか。


「まさか……」


知らない内に、木村君の事見てたなんて。


──そんな事実、知りたくなんてなかったよ。


「恵梨ちゃん、大丈夫?」

「あっ、うん。ごめんね、すぐ支度する」


私がその場に立ち尽くしていたからか、同じシフトの子に心配されてしまった。


いけない。こんなこと、考えてる場合じゃない。