ふと、この前の会話が思い出されてボッと顔が熱くなる。


違う!それは絶対違う!

そうじゃない。女の子と作業してたのが気になったとか、そんなのじゃない。


ただいつも真っ先に話しかけてくれる声がなかったから、今日は休みなのかと少し気になった。ただ、それだけだ。


……って。


「何、話しかけられる前提で、私……」


口を聞きたくないと、話したくない何も聞きたくないと突っぱねたのは私のくせに。


何、期待してるんだ。


心の隅に押しやってもう二度と開かないようにと何重にも鎖をかけたはずの思い出。鎖をかけた時は、思い出と呼ぶのも忌々しいとさえ思っていた。


なのに。

鎖が緩む音が止まらない。懐かしいなんて、思いたくないのに、勝手に溢れてきて。


ふと、スカートのポケットに入れていたスマホがヴヴヴ……と振動して、私はそれを取り出した。


どうやらメッセージが送られてきていたらしくて、差出人は、渓斗君だった。