「はー、好きな子と二人きりになれるからって、スケベなやつ」
「ばっ……!お前何言ってんだよ!」
沢森本人に聞かれたらどうすんだよ、と慌てて昴の口元を手で塞ぐ。
すると昴は呆れた顔で、本当の事だろ、と呟いた。
「理貴、恋する乙女みたいな顔してる」
「おと……っ!?」
お前、男子高校生に乙女は無いだろ!
「あーもう!いいから早く部活行け!」
「はいはい」
グイグイと昴の背中を押して、廊下に出す。
昴はさり際くるっと俺の方を向くと、
「ちゃんと理性は保てよ」
パチン、とウインクをして、そんな爆弾を落としていった。
暫く固まっていた俺も、数秒後に意味を理解した時には思わず顔が熱くなって。
「……っざけんな」
昴のバカ野郎。
そんなこと言われたら、無駄に意識するだろうが。


