「滑川、力加減……」

「あはは、ごめんごめん!」


ケラケラと笑った滑川はふと、柔らかく微笑んだ。


「木村君に振られたのは、引きずってないから。元々ショートにしようと思ってたし」


だから気にしないで、と笑う滑川。


「……わかった。似合うな、それ」


だからそう褒めただけなのに、滑川は顔を赤らめて、少し怒ったような顔をした。


「もう……ほんと天然タラシだよね!最早罪に問うべきだよ!」

「はあ?」


天然タラシって。


「遠山君もそう思うよね!?」

「おう!理貴は天然タラシだよな!」

「……いや、なんなんだよお前ら」


二人してわけわかんねー、なんて言いながら三人で笑う。


──そんな俺達を、沢森が見ていたことも知らずに。


そして、二学期が始まって1週間程経ったある日。


俺的にはラッキー。だけど沢森的にはアンラッキーな出来事が起きた。