多過ぎる、と思っていたけど、意外とすぐに花火はやり終わった。
まあ、昴が両手持ちとかしてバカ騒ぎしてたからだろうけど。
苦情が来てないのが不思議なくらいだ。
「じゃあこれ片付けてくるね!」
水を張ったバケツに、燃え尽きた花火を入れてあるそのバケツを持ち上げながらそう言った滑川に近付く。
それから、ひょい、とそのバケツを奪った。
「結構これ重いから。転んだら大惨事だし俺持つ」
「あ、ありがとう……」
「ひゅーひゅー優男!」
「お前にかけてやろうか……?」
野次を入れてくる昴に、バケツを持ち上げて見せると、ブンブンと昴は首を振った。
「昴はゴミの確認とかよろしくな」
「おー」
「滑川はこれどこまで持ってけばいいのか案内して」
「わかった」
俺の事置き去りにして帰ったりするなよー、と言いながら手を振る昴に見送られて、夜の海辺を歩く。
昴が居ないと、俺たちに残されたのは無言だった。


