「そんな……お礼なんて、言わないでよ!」
しんみりするじゃーん、とバシッと俺の背中を叩く滑川。
……結構力強いなおい。
「私は木村君の方が凄いと思うけどな!」
「俺?」
「うん!だって、普通気まずくて話しかけられないでしょ?」
「いや、だからそれはお前も──」
同じ事だろ、と言おうとすると、滑川は少し目を伏せて。
「うん。だから、ありがと。話しかけてくれて」
儚げに、微笑んだ。
「そろそろお腹すかない?」
「え?ああ、確かに……」
突然変わった話題に驚きながら、そう答えると、よし!と滑川が立ち上がった。
見上げると、太陽の逆光で眩しい。
「ご飯、食べよう!私準備してくるから、遠山君呼んできて!」
ね!とニカッと笑った滑川に、俺も小さく笑う。


