「……嫌とか、ないから」
むしろ、俺がいたら滑川の方が気まずくなるんじゃないかと不安になったくらいで。
……告白して、フラれる苦しさは俺も知ってるから。
現に俺は──また傷付くのが怖くて、沢森に会うことを怯えているから。
土屋にはカフェであんだけ啖呵きっといて、だけどいざ行動を起こそうとすると足が竦むような情けないやつで。
「俺、滑川の事すげーなって思う」
「え……?」
「こうしてまた話してくれて、……俺に笑いかけてくれて、ありがとな」
滑川は最初からそうだった。
フラれてすぐに話しかけてくれて、俺の恋を応援してくれて。
俺と会っても気まずそうな顔なんてしないで、笑って出迎えてくれて。
──その強さが、酷く羨ましい。


