なんでこんなとこに?と思っていると、隣で昴が「ごめんくださーい」と叫び出して。
え、なに。まさか冷やかし?と昴を睨むと、「はいはーい」と女の声がして、出てきたのは。
「いらっしゃーい、遠山君、木村君!」
「……滑川……?」
前に一度俺に告白してくれた女の子──滑川未夢だった。
にこにこと微笑む彼女は、どうやら俺と昴が来ることを知っていたような素振りで。
髪をポニーテールにして、半袖に短パンという出で立ちだった。
「滑川、なんでここにいんの?」
「この海の家経営してるの、私のお母さんなんだよね!私はお手伝いで来てるんだー!」
……なるほど。
遠目だからはっきりとは見えないけど、奥で作業してる女の人が滑川の母親って事か。
「遠山君が海に来るって言うから、特別サービスでお昼奢ってあげるーって言ったの!」
「昼?」
まさかこいつがいきなり昼飯奢ってやるからとか言い出したのって……。
じと、とした目線で昴を見ると、はははと昴はから笑いした。
「……お前も奢られる立場じゃねーか」
「あはは、まあね」


