どうせならもっと嫌なとこ見せろよ。
俺が幻滅するような一面、見せろ。
わかってる。そんなのは「無い」んだ。元から存在してないんだよ、そんなの。
幻滅するような一面なんて、俺の勝手な妄想で、酷く醜い願望で。
……そろそろ、自分の浅ましさに反吐がでそうだ。
それから木村とその場で解散し、俺は恵梨を迎えに駅前まで行った。二人とも家に戻るよりこっちの方が近かったから、待ち合わせは元々ここにしてあった。
駅前まで行けば、既に恵梨は待っていて。
「恵梨」と声をかければ、ぱあ、と表情を明るくさせて、恵梨が駆け寄ってきた。
「渓斗君!」
「待たせてごめん」
「全然大丈夫だよ!行こ!」
そう笑った恵梨に俺も微笑み、どちらからともなく手を繋ぐ。
今日は映画に行く約束をしていて、ずっと観たかったやつらしく、朝から恵梨はご機嫌だ。
「そういえば、渓斗君は誰と遊んでたの?」
「え……?」
突然浴びせられた質問に、思わず硬い声が出た。


