【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー






「……お幸せに」



向けられた祝福の声は、まったく嬉しそうなんかではなくて。


だけど憎しみが隠れているわけでもなく。


ただ、無機質な声でそいつはそう言うと、その場から去っていった。


それを暫く見てから、恵梨へと目を向ければ、恵梨は今にも泣きそうな顔で、あいつが去っていった方を見つめていた。


──なんで、恵梨まで傷ついたような顔をするんだよ。


あいつは恵梨を傷付けた男だろ。


「……もしかして今のが、恵梨が言ってた、恵梨のこと遊んだって男?」


答えなんてわかりきっていたけど、わざと直接的な表現でそう尋ねた。