【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





「……ここじゃ俺もお前もゆっくり話せないから、場所変えようって言ってるんだよ」

「話せない、って……」

「お前だって、誤解されたままじゃ嫌なんじゃないのか?」


真っ直ぐに見つめられて、問いかけられて。


──答えなんて一つだ。


「……嫌だ」


このままなんて嫌なんだ。

誤解されたままじゃ、ちっとも前に進めないから。


「じゃあ明日、聞くから……」


土屋はそう言うと、沢森の家の中へと入っていった。


そんな土屋の後ろ姿を見送りながら、ふ、と嘲笑する。


……敵に情けをかけられるなんて、な。


でもそれでもいい。

ほんの小さなことでも、どんなに惨めな思いをしたとしても、沢森がまた俺の元に帰ってくるなら。


それで、いいんだ。