俺の姿を見留めたそいつは、驚いたようにその瞳に俺の姿を映してから、すぐに不愉快そうに顔を歪めた。
確かこいつの名前は──。
「土屋、渓斗……」
「何しに来たんだよ?」
前に沢森が紹介してきたときは、いかにもってかんじの爽やかな笑顔で辛うじて敬語だったのが、今じゃ敵対心剥き出しだ。
俺も相当嫌われたもんだな、と苦笑する。
まあ俺も、お前のことなんか大嫌いだけどな。
「……俺がここに何しに来ようと、お前には関係ねーだろ。沢森いねーのかよ」
沢森の家から、我が物顔のように出てきたこいつが気に入らない。
きっと親公認の仲なんだろうとか想像すると、苛々して仕方が無い。
「恵梨は今出かけてる。……あのさ、もう恵梨に構うのやめてあげてよ」
「……は?」
やめてあげて、だ?
なんでそんなことお前に言われなきゃいけないわけ。