ここできっと、渓斗君を心配させたくないからってなんでもないよ、って嘘ついても、渓斗君にはバレてしまう。
そしたら渓斗君、怒るよね。
──それなら、言ってしまった方がいい。
「実は──」
木村君と同じクラスになったことを伝えると、『……まじかよ』と、少し不機嫌そうな渓斗君の声が聞こえてきた。
『話しかけられたりした?』
「……ううん」
『話しかけられても無視しろよ、そんな奴』
「…うん」
『もう恵梨の事は傷つけさせねーから』
決意に満ちたようなその声に思わず、顔が綻んでしまう。
渓斗君が居れば大丈夫。
私はきっと、頑張れる。
この胸の痛みも、耐えられるよね。


