そこは有名な峠だった。
その峠を越えた、この場所はヤバいと有名だった…。
有名だった…
確かに怖い話も聞いたが…
朝にゴミを出すのが面倒くさかった。
というより、
なぜかいつも夜にゴミ棄てを思い出し、思い出すと行きたくなった。
通常は、薄暗い位の頃に、懐中電灯片手にゴミ棄てをしていた。
ゴミ棄て場所は、
ゲージでキチンと囲んであり、案外夜に棄てる人も居たが、
その日は、テレビを見た後、長電話をしてしまい、真夜中だった。
誰も来るはずもないが、国道沿いなのでトラックは行き交う。
私がゴミを抱えていると、懐中電灯を持った、足の不自由な中年男性が歩いていた。
なんか、嫌な感じがした。
私は、ずっと中年男性の動きを見た。
すると二台のトラックがすれ違い、一瞬目が眩み、中年男性の姿が消えた。
トラックのライトで消えたように見える現象だなって思った。
しかし、真っ暗になっても中年男性が居ない。
道はない筈だ…。
私は、中年男性が足が不自由だと言う事を思い出し、慌てて中年男性が居た場所を見にいった。
誰も居ない…。
念の為、脇の溝も覗いたが誰も居ない。
隠れる場所も、わき道もなかった。
その時、初めて自分がこんなに暗いのに、懐中電灯の光しか見てないのに、なぜ私は、足が不自由な中年男性だとわかったのだろうかと思った。
思った瞬間、キーンと不快な耳鳴りと、嫌な黒が頭にまとわりついた。
私は慌てて、ゴミを棄てると部屋へ戻った。
部屋に戻ると、テレビが付いたままで、
時刻は深夜2時
丑三つ時だった…。