君の世界からわたしが消えても。


 そして、気になっていたことがわかってすっきりしたら、あの時の記憶がじわりじわりと浮かんできた。


 こんなタイミングで思い出すもんなのか、そう本気で思うくらいには突然に、鮮明にあの時のことが瞼の裏側に映し出される。


 ……やっぱり、美月はどこか近くにいて、俺たちのことを見ていてくれてんじゃないかって、そう思う。


「なあ、葉月。覚えてるか」


 あの冬の日、美月がお前に言ったこと。


 唐突に話し出せば、葉月は不思議そうな顔で首を傾げる。


「お前は覚えてないかもしんないけど」


 葉月、お前美月から、たぶんすげー嬉しいこと言われてんだよ。


「“どんなことがあっても、葉月を嫌いになったりしない”」


 “ねえ、葉月。私ね、どんなことがあっても、葉月を嫌いになったりしないよ。”


 あの日、どんな脈絡でそんな話題になったのかはわからないが、奏汰とふたりで喋っていた美月が振り返って、葉月にそう言っていたのを俺は隣で確かに聞いていた。


「お前、美月にそう言われてるんだよ」


 この言葉は、今の葉月にとって一番必要な言葉だったんじゃねーかと思う。