「好きでいて、いいのかな……」
ふいに、葉月が呟いた。
さわさわと木々の擦れる音に混じって聞こえたその声は悲しくなるくらいに小さくて、心臓が痛くなった。
もう何度も見てきた葉月の姿が遠くなるのを感じる。
こいつが寂しそうにしている時には隣に立って、一緒に歩んできたつもりだったけど、違ったんだな。
こいつの隣には、俺はきっと一生立つことなんかできないんだろうな。
そんなことを思う。
……葉月は自分のことを“ずるい”って言ってたけど、別にいいだろ、ずるくたって。
お前のついた嘘は、確かに自分のエゴだったかもしれないけど。
それでも奏汰が今をこうして生きているのは、美月でも俺でもない、葉月がいたからだ。
葉月のその“ずるさ”は、ちゃんと奏汰を救ってやれてるんだよ。
そんな思いを込めて、葉月の頭を撫でた。



