君の世界からわたしが消えても。


「カナのこと、好きじゃなくなっちゃえば楽なのに」


「お前がそんなことできるわけねーだろ」


 奏汰と美月が付き合ってから今日までずっと、なにがあってもあいつだけ見てたお前が、今更そんなことできるわけねーんだよ、バカ葉月。


 投げやり気味にぼそっと呟いた葉月に同じような口振りで言葉を返し、図星だろと目で伝えれば、小さな拳で脇腹を軽く殴られた。


 こんな些細なやりとりですら俺は嬉しく感じるけど、その行動の意味がわかっているから素直に喜べない。


 ……悔しいけど。


「お前は奏汰を好きでい続けるより、そうやって諦めようとする方が後悔するんじゃねーのか」


 バカは、俺もだ。


 こんなこと、本当は言いたくない。


 けど、俺が葉月にしてやれることなんて、精々こうやって言ってやることくらいだ。


 こいつの気持ちなんて、最初からわかってんだから。