君の世界からわたしが消えても。


 カナの横顔を、そっと盗み見る。


 やっぱりその目は、前だけをじっと見つめていた。


 ……ねえ、カナ。


 ここに来ても、やっぱりなにも思い出せないの?


 なんて、そんなこと言えるわけがない。


 勇気もなにも持たないそんなわたしに、なにか言う資格なんてきっとないから……。


 口に出せるわけがない言葉を心の中で呟いて、また小さく息を吐き出した。


 暗くなりはじめた空の色と、今の心境を表す色が似ている気がして、なんだか空に同情されているみたいだ。


 同情される資格も、わたしにはないけれど。