君の世界からわたしが消えても。


 ミヅキの携帯は、奇跡的に無事だった。


 それもこの三日月のペンダントと一緒に、いつか渡さないといけない。


 その日が来るのは、一体いつになるんだろう……。


 ――そんなことを考えているうちに、いつの間にか時間は進んでいた。


 気が付けば日は暮れはじめ、わたしの一番好きな光景が目の前に広がっていた。


 町が、オレンジ色に照らされている。


 まぶしいくらいに降り注いでいた日光は、今は柔らかい光を発していて。


 これからだんだん時間が過ぎていけば、空はそのうち紫になって、真っ暗になるんだろう。


 吹いていた風も今はなく、時折聞こえるのは虫の声。


 自分の心臓の音が聞こえそうだと思うくらい、辺りは静けさで満ちていた。