君の世界からわたしが消えても。


 町を見下ろすカナの目は、寂しさを孕ませた視線は、痛いくらいに真っ直ぐで。


 じくじく痛む心に触れないように、気にしないように、わたしはその場に座り込む。


 いつだって、こうしてこの町を眺めてきた。


 ミヅキがいなくなって、当たり前が当たり前じゃなくなってからも、ずっと。


 今日も、これからも、それは変わらない。


 わたしの隣に、同じく腰を下ろしたイチ。


 カナはまだ、立ったままじっと町を見ていた。


 そんな彼をそっと見上げようとするも、徐々に顔を出し始めた太陽のせいで、逆光になってよく見えなかった。


 でもね、なんとなく見えたの。


 カナの左目から零れた雫が、頬を伝って流れたのが。


 だけど、そんなカナに、わたしはなにも言えないんだ。


 言葉が、見つからないの。


 大切な人が泣いてるのに、助けてあげられない。


 もどかしくて、歯痒くて。


 どうしようもない。