君の世界からわたしが消えても。


 病院から家までの、帰り道。


 イチと一緒に何度も歩いたこの道を、今日は3人でたどる。


 見える景色はいつもと同じはずなのに、全然違うように感じる。


 それは、隣にカナがいるから。


 ざわめく風の音も、足音の数も、気持ちも、全てが今までと違う。


 晴れ渡った空とは裏腹に曇る気持ちをしまい込み、カナの歩幅に合わせて、ただただ歩いた。


「……ねえ、どうして歩いて帰りたいなんて言ったの?」


 視線を辺りに彷徨わせて、記憶を手繰り寄せるかのように目を細めているカナ。


 その瞳に映るのは、どんな景色だろう。


 初めて見る光景なのかな、それとも、懐かしいって少しは思うのかな。


 真昼間、空高くに昇っている太陽の日差しはとてもまぶしいけど、嫌な暑さではなかった。


 きらきらの光を全身に浴びるカナは、わたしの質問にすぐには答えないで、じっとなにかを考え込むようにしていて。


 だけど、その眼差しには、凛とした光が宿っているように見えた。