君の世界からわたしが消えても。


「美月ー……」


「なあに?」


 枕に顔を押し当てて、くぐもって聞こえたカナの声は、ひどく頼りなげで心細そうだった。


 だから、わたしはできるだけ優しく、柔らかくカナの声に答える。


 でも、カナはそれ以上なにも言わなかった。


 こんなにカナが小さく見えたのは生まれて初めてで、少しだけ切なくなる。


 思えばわたしは、ミヅキの代わりになってから、カナの初めてをたくさん見た。


 ずっと傍にいたのに、見ることも気付くこともできなかったこと。


 それは、カナの全てがミヅキに注がれていたからで、ミヅキもそれを取り零すことがなかったっていうこと。


 弱音を吐くのも、ミヅキの前でだけだったんだと思う。


 ミヅキがまだ生きていた頃、カナが落ち込んでたとか、そういうことは少しだけミヅキから聞いたことがあった。


 だけど、わたしがカナの口から直接、愚痴や泣き言を聞くことはなかった。


 わたしが知っているカナは、いつでも笑っていて、優しさの塊みたいだった。


 それに加えて人一倍周りの変化に敏感だから、自分が傷ついても苦しくても、カナは笑顔の仮面で隠しちゃうんだよね。


 心の中では、そういうことに気付いてほしいって思っていたんだろうなあ。