君の世界からわたしが消えても。


 イチは落ち込むわたしのことなんて気にもとめない様子で、ふんぞり返って椅子に座っている。


 なんだかなあ……と、ため息をひとつ吐き出す。


 わけわからないし、なんとなく気まずいし、飲み物でも買ってこようかな……。


 そう思って席を立とうとした時、カナのありえない一言が耳に飛び込んできた。


「あのさあ、イチってもしかして、美月のこと好きなの……?」


「えっ!?」


 ピシリ、と音が響きそうなくらいに凍りついた空気が流れたと思う。


 だけど、それはたぶんわたしが壊した。


 恐る恐るといった口振りでカナから放たれた言葉は驚くべきもので、思わず大きな声で叫んじゃったから。


 カナの顔は至って真剣で、冗談を言っているわけではなさそう。


 わたしはというと、パニック状態。


 イチはミヅキのことが好きなんだろうけど、ここにいるのはミヅキじゃなくてハヅキであるわたしなわけで。


 ……つまりカナは、イチがわたしのことを好きなんじゃないかって言ってるの?


 あれ、どういうことなんだろう。


 わけがわからなくなってきた……。