君の世界からわたしが消えても。


「美月は、この2日間なにしてた?」


 微妙な空気を変えるかのように、カナは微笑みながらわたしにそう聞いた。


 こういうふうに場の空気を読むところ、全然変わってない。


「えーっと、夏休みの課題やってたよ」


 高校生になったっていうのに、休みが終わるギリギリまで課題と格闘していたなんてことを知られるのは恥ずかしいけど、正直に言う。


 すると、カナは案の定へらりと困ったように笑って、ダメだなあと小さく呟いた。


「明日から学校なんだろ? ちゃんと全部終わった?」


「うん、もちろんっ!」


「そっか。えらいえらい」


 腕を伸ばしてわたしの頭をゆるゆると撫でるカナ。


 触れられた場所から、じんわりとした熱が全身に伝わる。


 子供扱いされてるみたいだけど、嬉しかった。


 中学生の頃、みんなで集まって課題をやったんだよね。


 課題とか勉強とか嫌いだったけど、頑張った後には必ず、ご褒美とばかりにカナは頭を撫でてくれた。


 その時に戻ったみたいで、心が温まった。