君の世界からわたしが消えても。


 思ったままのことを伝えれば、成長期だからねとカナは笑った。


 見上げっぱなしで首が疲れて、休憩とばかりに下を向けば細い身体が目に映る。


 身体は成長しても、もともとそれなりについていた筋肉は落ちてしまって、見た目はひょろひょろのもやしっ子。


 カナの少し後ろに立つ逞しいイチと比べれば、その体格差は歴然だった。


 それを見れば見るほど、わたしたちの間にはお互いの知らない空白の時間が存在するんだって、悲しくもなる。


 だけど、“今、生きている”ってことを、実感できた。


 手すりについているカナの右手。


 だけど、体重をそこにかけてあるわけでもなく、一応掴まっているという程度。


 筋力は衰えたものの、備わっていた歩くという機能自体は以前のままで、訓練次第で早く日常復帰できると、おじいちゃん先生に言われたらしい。


 必要最低限な筋肉は、思った以上につくのが早いみたい。


 それでも、たった数日の間にここまで回復するのかと驚いた。


 同じくらいに、不安も大きくなったけれど。


 ……一体、カナはいつ退院するんだろう、って。