君の世界からわたしが消えても。


 そのカナの言葉に、今度はわたしが赤くなった。


 ……触ったって、さっきの箸持った時のことだよね?


 無意識でやっちゃってた!


 ……気まずい、気まずすぎる。


 もしかしたら、いきなり手を握ったのが嫌だったのかな……?


 いや、でも、ミヅキにそんなことされても嫌がらないよね?


 ……ってことは、もしかしてカナは、照れてたの?


 それならおじちゃんたちが騒いでたのも、冷やかしてたのも理解できる。


 わたしはなんて大胆なことをしたんだろう。


 ちょっとどころじゃない自己嫌悪だよ……。


 それにしても、手が触れただけでこんなに狼狽えるんだね。


 不意打ちに弱いだけなのかもしれないけど……。


 カナとミヅキはどれだけ清い交際をしてたんだろう。


 肩を抱き寄せたり、手を繋いでいるのは何度も見たことがあるけど、それ以上の話はミヅキから聞いたことなかったな。


 ……聞きたくはないけどね。