君の世界からわたしが消えても。


 そんなイチの顔と、勇ましい顔で豆を見るカナの顔が対極なのにもほどがある。


 イチなんかため息つき始めたし。


 カナはそれを聞いて、心なしかしょんぼりとしている。


 頑張ってるんだけどなあ、カナ。


 それに比べて、イチの冷たい態度ときたら……。


 カナに記憶はないからあれなんだけど、イチはカナの親友なんだから少しくらい応援してあげなよ、って声を大にして言いたい。


 いろんな思いを込めてイチをじろっと睨んだら、思いっきり睨み返された。


 ……本当に怖い。


 イチなんか放っておいて、わたしだけでもカナを応援してあげよう!


 ……それにしても、カナの箸の持ち方が大変なことになっている。


 豆をつまむことだけに集中しちゃってるのかな?


 いくら力が入りにくいからって、その箸の持ち方はないよ……。


 今のカナにとってはその持ち方が楽なのかもしれないけど、それが癖になったら大変だよ。